第19回講演会 『再び沖縄を捨て石にする南西諸島への自衛隊配備』

第19回講演会(第7回総会記念講演) 2018年6月29日

再び沖縄を捨て石にする南西諸島への自衛隊配備  小西 誠さん

先島諸島への自衛隊配備

 今進んでいる朝鮮半島の和平の流れを私たちは推し進めなければなりません。しかし、日本の現状はそれと対比するように南西諸島への自衛隊の配備・増強が強まっています。

 今日使う資料は、2016年11月の私の情報公開請求で出された「南西地域の防衛態勢の強化」という13頁の文書です。

 この文書には陸上自衛隊の配備しか書かれていません。航空自衛隊なんて一言も出てきません。これはほとんど隠蔽・改竄の結果だと思います。私はこの文書から今の自衛隊配備の全体図を作りました。

 簡単に言いますと、琉球列島弧に与那国島から奄美・馬毛島まで一体となって、自衛隊の対艦・対空ミサイル隊、歩兵部隊、その他の部隊を集中するという状況になっているということです。

 小西が危機をアジっていると言われると困りますので、一個一個、具体的な事実からみなさんにしっかりと見ていただきたいと思います。

与那国島では

 まず、与那国島では、2016年3月28日、与那国駐屯地が発足しました。これは沿岸監視部隊がメインです。それに加えて電波傍受施設、航空自衛隊の移動警戒隊の対空レーダー基地が作られます。固定レーダーはミサイルでやられますので移動レーダーになっています。対艦ミサイル部隊を造ることも元読売新聞記者の本にもハッキリと書かれています。もう一つは、事前使用拠点=兵站基地も兼ねて造るんだろうと思われます。いったん基地が作られたら、どんどん拡大する。これは不可避だということの一つの表れが与那国島です。

石垣島では

 石垣島では中央の農村地帯にある平得大俣地区に、約48haの巨大な対艦・対空ミサイル部隊、プラス警備部隊の基地を造ります。於茂登岳という石垣最高峰のふもと一帯が基地になります。自衛隊が発表した図面では、基本的にゴルフ場の土地ですけれども、他に民有地・私有地の農園も予定地に入っています。

 5月から予定地の各地区で説明会が開かれました。そのうちの一つの説明会で、出席した二人のうちの一人は「住民はほとんど猛反対でボイコットしている」と言いました。もう一人の80代のおじいさんは「絶対基地は作らせない」と叫びました。農民も市民も含めてみんな反対で、横断幕も掲げられています。これに対し石垣市側は市長以下幹部が十数人顔をそろえました。反対の人達よりいっぱい参加しています。石垣市長は今までずっと「防衛は国の専権事項だ」と逃げていましたが、防衛省がものすごい圧迫をかけていると思います。いよいよ石垣も重要な段階に来た、というふうに思わざるをえません。

宮古島では

 宮古島ではもともと千代田カントリークラブ(以下CC)と大福牧場という二ヶ所が予定地でした。宮古島というのは川がほとんどなくて、雨水は全部地下にたまるという非常に特殊な、世界でも珍しい島なんです。大福牧場地区は真ん中に貯水池があるということで、島中の住民の反対運動が広がって中止になりました。その代わり、もう一ヶ所、保良地区というところに作る予定になっております。

 宮古島のレーダーサイトは、どんどん増強されています。また、宮古島の最高峰の野原岳の航空自衛隊は非常に大きな基地になっています。千代田CCは昨年の10月から工事が始まりました。

 そして、今年の5月の段階で22haになる巨大な地区の基礎工事がほとんど終わって、建物をどう建設するかという段階に入っています。

 千代田CCと野原岳の間に集落が挟まっていて、この集落にレーダーからの照射が正面から来ます。これは恐るべき状況です。こんなに住民の近くにレーダーサイトが存在するというのは他に例がありません。ちなみに僕はレーダーサイト出身で、レーダーについては詳しいです。僕が任務に就いていた山では1200mの山頂にレーダーがありまして、山頂から集落までは5~10kmありました。ですから、レーダーの照射する電波で住民が影響を受けることは全くありませんでした。

 ところが宮古島の場合はレーダーから50~100mくらいのところに集落が広がっています。住民たちは電磁波の影響を非常に危惧しております。

 新たに発表された保良地区では、対艦・対空ミサイル隊が弾薬庫を造るということなんですけれど、ここも弾薬庫と住宅地が距離200mしかない。ここは対艦ミサイル4基30発、対空ミサイル3基18発と言っていますけれども、撃ってしまったら装備だけ残る遊休部隊になってしまいます。こんなレベルでは戦争はできないです。

 有事には最低限一つの島で、一個連隊から二個連隊分、つまり、だいたい百発から二百発の弾薬を保管しておかなければなりません。しかし実際は、おそらく、二個連隊・三個連隊分を保管しておくという戦争を想定しています。ですから巨大な弾薬庫は爆発するだけじゃなくて狙われるという危険があります。こういう計画が建設段階に入っています。住民はもちろん、いろんな抗議をやっています。

 また宮古島には3000mの滑走路を持つ民間空港、下地島空港というのがありまして、これはF35Bの基地になる可能性があります。

奄美大島では

 奄美大島が一番ひどい状況です。警備隊、対艦・対空ミサイル隊、航空自衛隊移動警戒隊、航空自衛隊通信施設4ヶ所の建設計画がすでに発表されています。陸上の二ヶ所はすでに工事がどんどん進んでいます。配備計画では南の方の節子地区に対艦ミサイル隊と警備隊、山の方にレーダー部隊が建設予定です。

 奄美市に出された説明会の文書は市民には一部しか公表されていません。けれども一方では対空・対艦ミサイル部隊は山影から撃って島中を移動すると発表しています。対艦・対空ミサイルは敵側からの攻撃を免れるために、みんな移動式なんです。あるいは地下道を作って地下に潜るということをしないと、一発でやられてしまいます。

 石垣・宮古などでは災害派遣部隊「等」、警備部隊「等」の部隊が来ますという言い方をして、ミサイル部隊の運用については触れない。誤魔化しています。

 名瀬の大熊地区では防衛局によって今年の6月の段階ですでに工事が相当進んでいます。350人ぐらいの規模の部隊だと言っているわけですけれども、大熊地区だけで30ha、節子地区は28haで、対艦ミサイル部隊プラス警備部隊ということになっていて工事がどんどん進んでおります。非常に巨大な規模です。

 奄美の場合は、さらに大きな問題があります。先ほどの防衛省説明会の文書に出ていますが、島一番の景勝地である江仁屋離島を勝手に統合演習場と決めているんです。奄美のほか馬毛島、種子島などでも自衛隊の演習場でない民有地でどんどん演習をやっているのです。

 自衛隊は生地訓練といっているんですけれども、市街地で訓練をやっています。東京や大阪周辺の市街地で演習するなんて考えられないでしょうが、ここでは航空機部隊が宇宙から見てもわからないような偽装をして展開しています。奄美大島では検問所とかを造って訓練しています。銃を下に向けた近接戦闘隊形の訓練を市街地で平然とやっているというのが奄美なんです。

 瀬戸内町の港では、陸上自衛隊が水際に機雷を敷設するという訓練をやっています。種子島では空挺部隊の降下訓練が行われています。おそらく、この奄美から馬毛島も含めて、もう一つの軍事拠点にするというのが自衛隊の計画なんでしょう。

馬毛島と事前集積拠点

 馬毛島というのは米軍のタッチ・アンド・ゴーの艦載機訓練が報道されているけれども、実際には、この自衛隊が南西諸島展開のための補給拠点、正式には軍事的な事前集積拠点、プラス上陸訓練演習場にしようというところなんです。防衛省のサイトに載っていますが、馬毛島は無人島で、二つ滑走路があって、もともと木も生えていたんですけれども、所有者が防衛省に売るために切ってしまって、漁業被害が出ているという状況なんです。2、3日前に、種子島の市会議員の方から連絡があり、この馬毛島を所有している会社が倒産したので地区の債権者が破産申し立てをしたということでした。

 防衛省は50億円で土地を買いたいと言っていたのですが地主は100億、150億だとふっかけているとのことです。それで防衛省も行き詰まって、いったん諦めかけたといっていますけれども、自衛隊にとっては最良の地です。自衛隊にとってはこういう事前集積地が得られなかったら大変なことになるんです。

 事前集積拠点について説明しますと、南西諸島で島嶼防衛戦争をすると考えたとき、陸上自衛隊の半数が投入されて戦います。その戦いに向けて、普通は最低一会戦分の物資が必要なわけです。

 大体自衛隊は1,2ヶ月分の物資を持っていますから、その物資をどこかに置かなければならない。武器・弾薬・燃料から食料・医療品など含めて100万点になると言われていて、ありとあらゆる備品を置かなければならないのです。だから巨大な弾薬庫=集積拠点が必要になってくるのです。

 米軍はグァム島の沖合に5~10万トンの事前集積船を7~8隻配置しています。これが海兵隊の一個海兵師団の事前集積船なんです。このような事前集積拠点がこの馬毛島、あと南九州あたりにも出来るだろうというふうに予想されます。

沖縄本島の部隊増強と島々の軍事空港化

 佐世保の主軸では、今年3月に二個連隊の水陸機動団が、水陸両用車52両とオスプレイ17機と一体運用する計画で発足しました。オスプレイの配備場所は佐賀空港に予定されていましたけれど、漁業権を持っている漁業組合の人たちの力が強いもんですから、いま佐賀空港に配備するのは難しい。そこでいったん千葉県の木更津の方に配備するということになっています。

 水陸機動団、一個連隊が沖縄本島に配備予定です。沖縄本島の自衛隊の増強も、5~7年くらい前からどんどん広がっていて、この5年で陸自が1750人、航空自衛隊が1210人増えています。

 そしてその象徴がF15戦闘機部隊の20機から40機体制への変更です。昨年の7月ぐらいにこの体制がつくられまして、南西航空混成団が南西航空方面隊=第九航空団に昇格して、那覇基地(空港)に配備され、いま那覇空港は過密状態でいつ大事故が起こるか分からない状態になっております。

 先島から奄美で事前配備される部隊が約2200人、沖縄本島の増強部隊が約2000人、水陸機動団が約4000人ということで、第一次配備として約8200人が新しく配置される予定です。すでに沖縄本島にも2016年段階で7000人いますから、約1万5000人が配備されることになります。さらに三個機動師団、四個機動旅団を編成することになっていて、約3万から4万人の部隊を動員すると打ち出しています。

 もうひとつ重要なことは、与那国、宮古、南・北大東島の民間空港を軍事空港にするということです。これから地元との交渉に入ることが発表されております。ヘリ空母「いずも」を改修して本格空母にするという話も出ていますが、日本軍以来72年間、自衛隊は空母の運用をやっていません。空母は運用や配備に莫大な金が掛かります。だいたい空母一隻一兆円ぐらいですから、空母機動部隊の編成となると金も時間も掛かります。

 これに対して約20ある南西諸島の民間空港を軍事化、要塞化する方が費用も掛からず簡単です。穴を掘ってがっちりした掩体壕を造る、それに燃料補給の設備を造れば完成です。F15やF35Bを配備できます。つまりは不沈空母です。
 すでに五つの空港にこの構想が発表されており、南西諸島の全島を要塞化・軍事化するという計画が進んでいます。住民の反対行動が弱まれば弱まるほど軍事化は強化されていきます。

米軍基地すべてが日米共同使用

 「日米の動的防衛協力」について統合幕僚会議が2012年に発表した文書をみると、さきほどの沖縄の民間空港の軍事化だけじゃなくて、沖縄本島に対する自衛隊の配備について書かれています。水陸機動団=日本型海兵隊を一個連隊、自衛隊の普通科連隊を一個連隊配備するということです。

 さらにこの文書には、米軍のキャンプ・シュワブやキャンプ・ハンセンに水陸機動団プラス普通科連隊を配備すると出ているんです。同時に、沖縄の嘉手納・伊江島の航空基地、プラス嘉手納弾薬庫等々の弾薬庫、それから北部・中部訓練場、米軍が持っている射爆場、これら全部を自衛隊も使用するという共同使用計画というのが出ています。

 つまり沖縄本島に自衛隊と水陸機動団=日本型海兵隊が配置され、同時に、米軍基地全部を共同使用するということです。おそらくこの日米共同使用ということの重要性については沖縄の人を含めてまだ認識されていないんじゃないかと思います。

 3月30日、共産党の穀田議員が、防衛省にこの「日米の動的防衛協力」の文書は改竄されているということを国会で質問したんです。ところが、この問題は新聞のベタ記事にしかならなくて、一方でイラク日報だ何だと、17人処分されたという記事がブワァーと出てきた。つまり、一年前の文書は出すけど、島嶼防衛に関する文書の改竄は絶対に認めないということです。

 この文書で改竄されていたのは七ヶ所です。なぜ改竄したのか。これは書かれている通り「対中防衛のための策定文書」です。2012年の民主党政権のとき作った対中防衛計画に基づいて南西シフトを作成したのです。

 平時には中国の海洋権益の拡大を阻止する、つまり、中国の覇権を阻止する、有事には東シナ海での戦争、ということをハッキリと言っているんです。
日中平和友好条約にはお互いに覇権争いをしないと明記されているにもかかわらず、この文書には対中防衛、海洋権益拡大阻止と書いてあって、これに基づいて策定したというわけです。

 先日、宮古島に立憲民主党の枝野代表が来てタウンミーティングをやりました。

 枝野さんは文書の存在を知っていたと答えたのですが、ミサイル部隊が来るということは知らなかったといったのです。これは驚くべきことです。

 もともと沖縄に新しく自衛隊基地を造るというのは大変なことです。戦後、米軍が旧日本軍の基地を接収して米軍基地として引き継いできた。そういう状態で、新しい自衛隊基地はほとんど出来てこなかった。沖縄戦体験者のいる沖縄に自衛隊基地を造るということは大変だということを自衛隊は分かっている。分かっているから、民主党政権にも、島々の人たちにも「災害派遣」とか「警備部隊」とかいって、島中移動する戦闘になるようなことは全然言わなかったのです。ですから地元の人は「知らなかった」と言っています。驚くべきことです。

 防衛省はこの2012年文書の存在自体を政権中枢に隠しておきたかったのです。

 この文書の情報公開請求を最初にしたのは実は、私なんです。私の請求で出てきた文書は英文も含めて七件ありましたが真っ黒って感じでした。それでもう必要ないよって言ったんです。

 自衛隊の水陸機動団と一緒に海兵隊が離島奪還作戦をやる。アメリカの機動部隊はいったん全部グァム方面に撤退して自衛隊にやらせておく。中国がミサイルを撃ち終わったら、米軍が突っ込んでくるという構想なんです。この米軍との共同作戦を含めて、知らせたくないから隠蔽・改竄したんだろうと思っています。今まで話してきたことは、マスコミではほとんど報道されていない内容です。

『野外令』改訂から陸自創設以来の大改革へ

 防衛省は、2015年の防衛白書に南西シフトの所要な点はだいたい全文を出しています。防衛白書の最後に書かれていることは、「これらの取組の具現にあたっては、従来にない隊員の大規模な全国移動を必要とし、総じてこの大改革は、組織改革や制度改革のみならず、隊員個人の覚悟に至る意識改革までもが包含される、壮大かつ広範に及ぶものであり、陸上自衛隊は一丸となってこの創隊以来の大改革に取り組んでいる。」ということです。

 陸上自衛隊が全国規模で移動する。陸上だけでなくて海上・航空も全部動きます。自衛隊の全国的規模の移動の本格的な始まりです。こういう状態がいつから始まっているかというと2000年からです。陸上自衛隊の最高教範(教範=教科書)である『野外令』というのが2000年に改訂され、離島の防衛―上陸作戦という概念が制定されました。それから2002年には日本型海兵隊である西部方面普通科連隊が発足します。その西部方面普通科連隊が2006年からアメリカ海兵隊と共同演習を始めます。つまり自衛隊の南西シフト態勢はこの時から始まったんです。

新たな脅威づくり…「対中国」

 東西冷戦が終わって日米安保は必要ないのではないかと言われたり、日米安保の漂流なんて言われました。そのあと96年にクリントンと橋本会談が行われて「日米安保再定義」がありました。その前の93、4年に「朝鮮半島危機」、95年に「台湾海峡危機」が叫ばれました。

 僕はこのような「危機説」はほとんど演出されたものと思っていますけれども、その「危機」の後に日米安保の再定義がなされ、97年には「日米防衛協力の指針」、いわゆる新ガイドラインが制定されました。「安保再定義」では、朝鮮半島有事や台湾海峡有事に自衛隊が米軍の支援として参加するということになっています。その後、周辺事態法ができます。さらに2003年前後に有事立法関連法が成立します。この段階で、自衛隊は、というか日米全体含めて「ソ連封じ込め」から「中国封じ込め」へと転換しました。新しい脅威をでっち上げてそっちの方向へ進んでいくことになったのです。その体制の中で、実際に、2002年の西部方面普通科連隊発足、2005年の「ロードマップ」(「日米同盟・未来のための変革と再編」に伴う「再編実施のための日米のロードマップ」)、2004年の新「防衛計画の大綱」などで、この離島の防衛というのが出てくるんです。

 米軍のQDR(4年ごとの国防計画の見直し)が2010年。アフガン・イラク戦争が2010年くらいにだいたい決着し、その後、出されたのがエアシーバトル構想です。対中国との戦闘態勢を作るエアシーバトル構想に基づいて、2014年に日本の防衛省は新しい防衛計画の大綱を作って島嶼防衛を前面に打ち出すんです。そして、それに即して部隊配備計画を策定するという流れになっています。

 つい先日、イージスアショアの山口県と秋田県への導入決定を防衛大臣が説明していました。北朝鮮と中国はほとんど同じ位置です。防衛圏としては同じだということです。「対中国」ということは絶対口に出せませんので、日本の国民向けとしてイージスアショアは対北朝鮮対策のように見せかけているのです。
 朝鮮半島が平和プロセスに入ってもこのような言い方をしているのです。

琉球列島弧へのミサイル配備による海峡封鎖

 中国から見ると、中国は完全に琉球列島弧で封鎖されています。日本は琉球列島弧にミサイルを並べて海峡封鎖をしようとしています。大隅海峡から宮古海峡、あと小さな水道などの近海も封鎖する。さらにはフィリピンとの間のバシー海峡、マラッカ海峡などの遠隔海峡も封鎖する。つまり第一列島線で東シナ海全体を封鎖するということなんです。そうすると中国の貿易にすごい影響が出てくる。マラッカ海峡なんて典型的な経済封鎖です。

 アメリカ海軍大学のトシ・ヨシワラ教授は“琉球列島弧は天然の要塞である。日本から中国にむけた万里の長城である。ここを封鎖すれば、中国の軍艦だけでなくて経済全般含めて全部封鎖できる”と言っています。
 琉球列島弧にミサイルを並べれば200~300kmの地域的制空権は確保されます。空軍同士の戦いで日本が弱くてもミサイルでカバーされていると日本は地域的な制空・制海権を確保できる。これは軍事的に非常に合理性があるんです。島々を全部軍事化すれば、アメリカの第七艦隊や旧日本軍みたいに何十隻も空母を使わずに不沈空母部隊ができる。これが、アメリカが「エアシーバトル」とか「オフショア・コントロール」とか言っていることなんです。

 米軍は、島嶼防衛戦、限定海岸戦争という言い方をしています。自衛隊もそれにのっとって作戦計画を作っています。平時は中国の東シナ海だけでなく南シナ海を含む海洋権益を阻止する。有事は戦闘で中国を封じ込める。そういう計画なんです。

「島嶼防衛戦」は不可避的に西太平洋戦争に拡大

 それで日米・中の大規模な戦争にならないか。核戦争にまで発展するんじゃないか。その場合に日中、米中経済はどうなるのか。日中戦争が始まった場合、お互いGNPが何パーセントに落ちるまで耐えられるのか。実際、そういうとんでもない研究まで始まっています。

 おそらく最初は島嶼防衛の小さな限定戦争でしょう。しかし、だんだんエスカレートします。

 中国が負けて黙っているわけがない。結局、アジア太平洋を巡る日米・中の戦争になります。

 この戦争では法律上も作戦上も日本が主で米軍は支援に回る立場です。米軍の支援、介入は限定的なものになります。米軍は空母機動部隊をグァム以遠に撤退させます。自衛隊に戦争をやらせて、ミサイルの撃ち合いが終わったら戻ってきて支援するという形の日米共同作戦体制に入ることになっています。これは先ほどの文書の中にハッキリと書いてありますし、計画もそうなっています。

 安倍政権が2012年に「インド太平洋戦略」として英語の論文を発表しました。これは中国を包囲するという計画です。そのために準軍事同盟と言われているオーストラリア、準同盟まではいっていないインド・フィリピン・ベトナム、それからイギリス、あるいは最近フランスまで動員しようとしています。

 この戦略に基づいて自衛隊法も新たに策定されています。日米間以外に、日豪、日英間のACSA(物品役務相互協定)を締結しました。

 この「インド太平洋戦略」なんですけど、これはアメリカがやっていた研究を安倍が盗んで発表したものです。そのあとトランプが昨年のASEANの首脳会議で発表しました。その発表に基づいて、昨年の12月に国家安全保障戦略、今年の1月に国防長官の国家防衛戦略が発表され、対中・対露封じ込めの方に舵をきったんです。

 アメリカはもう朝鮮半島問題には戦略的には決着をつけています。90年代以降の北朝鮮というのは冷戦と位置づける価値もないくらいの状態なんです。北朝鮮の軍事力は弾道ミサイルだけであって、北朝鮮を問題化することではアメリカの軍拡にはつながらないんです。軍拡をやろうと思ったら中国を相手にしないといけないわけです。

「無防備地域宣言」を!
再び沖縄戦を起こしてはならない!

 南西諸島においては島嶼防衛部隊だけではなくてミサイルの装備強化も進んでいます。防衛省の発表では、島が占領された場合、島と島の間でミサイルを打ち合って島嶼間攻撃を行うということになっています。ミサイルが乱れ飛んですさまじい戦争状態になります。つまり島々を犠牲にすることになります。これは沖縄戦というレベルよりもっとひどいことになります。

 私は地元に、南西諸島、先島を含め、「無防備都市宣言」をやるべきだということを一貫して主張しているんです。自衛隊は「防衛空白地帯」と言っています。ですが、南西諸島、先島を含めて沖縄はもともと戦前は無防備地域だったんです。沖縄本島で日本軍が基地を初めて造ったのは1944年からです。それまで基地はなかったわけです。基本的に沖縄はずっと国際法上、無防備地区(1922年ワシントン体制…アジア太平洋地域の南洋諸島「要塞化禁止条項」)だったんです。あの日本の軍国主義が占領して軍事化したんです。ですから、この原点に立ち返って沖縄の人たち、南西諸島の人たちは「無防備地域化」を推し進めるということをやらないといけないんです。そうしないと、大変な戦争の危機が迫ってくるのです。

先進国間戦争は不可能

 私は今日の先進国間で戦争は不可能だと思っているんです。なぜかというと、人権尊重、生命尊重というのがあります。例えばアメリカはアフガン・イラク戦争の帰還者の7万3000人が自殺しています。あの戦争国家アメリカでさえ帰還兵の25%はPTSDです。先進国の少子化を含めて民主主義、人権尊重の国はもう戦争はできなくなってきています。

 もう一つは、日本・中国を含めて、原発をかかえてどうやって戦争するのか。日本は54基の原発があります。中国はいま40基で、2030年までに110基ぐらい造るといっています。南西諸島から中国の本土まで500kmちょいしかありません。航空自衛隊が1000km飛ぶ巡航ミサイルを装備すると、全ての原発に通常型の戦闘でミサイルを撃ち込めるんです。中国の原発が破壊されたら放射能は偏西風にのって日本に届きます。

 朝鮮からみて韓国の南の方まで約400㎞、通常ミサイルで届く距離。韓国にも原発が24基あります。韓国の原発が破壊されたら、放射能は東に広がって西日本から日本全域に届きます。

 それに、朝鮮戦争が起きたら北朝鮮だけじゃなく韓国も崩壊する。日本も半分は崩壊する。トランプもこれは大変だと考えて和解するでしょう。こういうことになるのです。

 ですから、基本的に、もう先進国間では戦争はできなくなっているのです。だから、後進国に戦争を輸出しようとするんです。

 島嶼防衛戦争に戻れば、島々に戦争を限定すれば本土は大丈夫。こういうことを平気で考える人がいる。島嶼防衛戦争は限定戦争だと言っても必ず「東アジア太平洋戦争」に発展する。その危機はだんだん迫っています。
日本の自衛隊の配備が完了するのが2020年。2020年に統合軍事力が最前線に配備された段階で島嶼防衛戦争の一番の可能性が出てくる。いま話したとおり、戦争が始まってしまえば島々の人たちは逃げるところがない。避難するところがない。真面目な話、軍と民一体の戦争となる。このような状況の中で、地下にシェルターを造るという話まで出ています。

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 日本の国会議論の体たらくの中で、南西の島々の人たちは非常に孤立しながらがんばっています。

 何とかこの問題について、もう一度、考えていただきたいと思います。